お墓と実家は継ぐ手続きが別です|お墓は遺産分割の対象にならず、実家には3年の登記義務があります
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「実家は兄が、お墓は自分が」と分けて継ぐことはできるのか。民法はお墓を一般の相続財産と別の条文で扱い、家庭裁判所もお墓は遺産分割の対象にならないと説明しています。実家の相続登記の義務と、お墓の使用権の承継を、窓口ごとに並べました。
この記事で分かること
- お墓が一般の相続財産と別の条文で扱われることが、条文で分かる
- お墓は遺産分割の対象にならないという家庭裁判所の説明が分かる
- 実家の相続登記の期限と、期限を過ぎた場合の扱いが分かる
- お墓の使用権の承継が、墓地の管理者への手続きであることが分かる
結論:お墓と実家は、別々に継ぎます
親が亡くなって、実家とお墓の両方を誰が引き継ぐかを決めることになった——という場面です。
お墓と実家は、継ぐ人を決める条文も、手続きの窓口も別です。
- 実家(土地・建物)は相続財産です。遺産分割で取得する人を決め、法務局に相続登記をします。期限は3年です。
- お墓は祭祀財産です。遺産分割の対象にならず、祖先の祭祀を主宰する人が継ぎます。名義の手続きは墓地の管理者に対して行います。
「実家は兄、お墓は自分」のように、別の人が継ぐ形になることがあります。
条文で見る違い
民法第896条は、相続人が「被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と定めています。実家の土地・建物はこちらです。
一方、第897条第1項は次のように定めています。
系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
「前条の規定にかかわらず」とあるとおり、お墓は第896条の一般の相続とは別に扱われます。誰が継ぐかは、亡くなった人の指定があればその人、なければ慣習で決まります。
慣習が明らかでないときは、家庭裁判所が定める(同条第2項)とされています。
家庭裁判所の説明:お墓は遺産分割の対象になりません
福岡家庭裁判所が公開している遺産分割調停のQ&Aは、遺産分割の対象とならないものの例として「祭祀財産(祭具・墓など)」を挙げ、次のように説明しています。
- 相続とは別の基準(慣習)で承継されるもので、遺産分割の対象にはならない
- 慣習が明らかでなく、相続人の間でも決められないので調停で話し合いたい場合は、別に祭祀承継者指定の申立てが必要
つまり、遺産分割の話し合いで実家の分け方が決まっても、お墓を誰が継ぐかは自動的には決まりません。家族で別に話し合っておく必要があります。
実家の側:相続登記は3年以内の義務です
法務省によると、令和6年4月1日から相続登記の申請が義務になりました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期限 | 不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内(不動産登記法第76条の2) |
| 怠った場合 | 正当な理由がないと10万円以下の過料の可能性(同法第164条) |
| 義務化より前の相続 | 令和6年4月1日より前に相続を知った不動産で未登記のものは、令和9年3月31日まで |
| 分け方が決まらないとき | 法務局で「相続人申告登記」をして義務を果たす方法がある |
実家を売って代金を分ける方法(換価分割)も、福岡家庭裁判所のQ&Aに分割方法の一つとして挙げられています。共有のまま残す方法(共有分割)は、将来、共有者の間で管理や処分の意見が食い違ったときに問題が生じる可能性があるとされています。
実家を売ると決めた場合、売る前に相続登記が要ること(相続人申告登記だけでは売却に進めないこと)と、仲介と買取の違いは相続した実家を売る前ににまとめました。
お墓の側:使用権の承継は、墓地の管理者に届けます
公営霊園では、使用権の承継が条例で定められています。東京都霊園条例第19条は、使用者が死亡した場合などに、引き続き使用しようとする人が使用者の地位を承継できると定めています。
宇都宮市は、使用者が死亡した場合は「墓園使用権」を承継する必要があると案内し、承継届・使用許可証・戸籍謄本などの書類を挙げています。親族一同と協議して承継者に決まったことを示す申立書も、必要書類の一つです。
この承継が済んでいないと、墓じまいの手続きで止まります。改葬許可の申請では、申請する人が墓地の使用者と異なる場合に承諾書等を添えるためです(墓地、埋葬等に関する法律施行規則第2条)。詳しくはお墓の名義変更が先ですをご覧ください。
お墓に相続税はかかるのか
お墓の税金の扱いは、お墓に相続税はかかりますかで国税庁の資料をもとにまとめています。実家の売却にかかる税金は、本サイトでは扱っていません。
次に確認すること
このページの情報源
- 民法(明治29年法律第89号)第896条・第897条(e-Gov法令検索(デジタル庁))確認日:2026年10月27日外部サイトが開きます
- 遺産分割調停についてのQ&A(遺産の範囲・分割方法など)(福岡家庭裁判所)確認日:2026年10月13日外部サイトが開きます
- 不動産登記法(平成16年法律第123号)第57条・第76条の2・第164条(e-Gov法令検索(デジタル庁))確認日:2026年10月13日外部サイトが開きます
- 相続登記の申請義務化に関するQ&A(法務省)確認日:2026年10月22日外部サイトが開きます
- 東京都霊園条例(東京都)確認日:2026年10月27日外部サイトが開きます
- 墓園使用権の承継(宇都宮市)確認日:2026年10月27日外部サイトが開きます
- 墓地、埋葬等に関する法律施行規則(昭和23年7月13日厚生省令第24号)(厚生労働省 法令等データベースサービス)確認日:2026年10月27日外部サイトが開きます
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