お墓(墓地)は売れますか|都立霊園などの公営墓地は条例で譲渡を禁じ、手放すなら返還です
墓じまいで不要になった墓地を、誰かに売ったり譲ったりしてお金に換えられないか。東京都・福岡市・高砂市の条例と案内を読むと、3つの公営墓地はどれも「使う権利」で、他人への譲渡は禁止または許可の取消し事由です。親族に継ぐ「承継」との違い、返すときに戻るお金の考え方を整理しました。
この記事で分かること
- 公営墓地で手に入れているのは土地ではなく「使う権利(使用権)」だと分かる
- 他人に譲る・貸すことは、条例で禁止または使用許可の取消し事由とされている例が分かる
- 親族が名義を継ぐ「承継」は、譲渡とは別に認められていることが分かる
- 不要になった墓地は返還するのが原則で、戻るお金は条例の還付の定めによることが分かる
結論:確認した公営墓地は売れません。不要になったら返します
墓じまいで空く墓地を、ほかの人に売ったり譲ったりできないか——という問いです。今回確認した3つの公営墓地(都立霊園・福岡市の霊園・高砂市公園墓地)については、条例や案内を読むかぎり、できません。
理由は、墓地を「買った」ときに手に入れたのが、土地の所有権ではなく墓地を使う権利(使用権)だからです。高砂市の公園墓地の募集案内は、はっきり「墓地は分譲ではありません。使用する権利、すなわち墓地使用権を取得されることになります」と書いています。
そして、その使う権利を他人に譲ることを、条例が禁じています。
- 東京都霊園条例 第17条:「使用者は、埋蔵施設、収蔵施設又は式場を他の者に貸し、又はその使用する権利を他の者に譲渡してはならない。」
- 福岡市立霊園条例 第9条第1項第2号:「利用権を譲渡し、又は一般墓所の利用地を転貸したとき」は、市長が利用の許可を取り消すことができる
- 高砂市公園墓地(募集案内):「使用権を譲渡し、または使用場所を転貸したとき」を使用許可の取消し事由に挙げる
不要になった墓地は、管理者に返還するのが手放し方です。
「譲渡」と「承継」は別のものです
他人に譲ることはできなくても、家族が名義を継ぐ(承継する)ことは認められています。
| 項目 | 東京都(都立霊園) | 福岡市 | 高砂市(公園墓地) |
|---|---|---|---|
| 他人への譲渡・貸すこと | 禁止(第17条) | 許可の取消し事由(第9条第1項第2号) | 許可の取消し事由(募集案内) |
| 親族などが名義を継ぐ(承継) | 使用者の死亡その他規則で定める場合に承継できる。承継する人は祖先の祭祀を主宰する者で、知事の許可が要る(第19条) | 祭祀を承継する者が一般墓所の利用権を承継でき、市長に届け出て承認を受ける(第12条) | 使用者の死亡時、または生前に親族へ譲りたい場合に承継許可を申請 |
| 使わなくなったとき | 届け出て原状に回復(第16条) | 原状に復して返還。市長の承認があれば現状のまま(第7条) | 霊域返還届を提出 |
| 返したときに戻るお金 | 既納の使用料・管理料は原則還付しない(第15条) | 許可後3年以内に全部返還したときは使用料の半額(第18条第2項) | 募集案内・手続きのページに還付の記載なし |
公営墓地の使う権利:譲渡・承継・返還(2026年10月27日に条例と案内で確認)
他人への譲渡・貸すこと
- 東京都(都立霊園)
- 禁止(第17条)
- 福岡市
- 許可の取消し事由(第9条第1項第2号)
- 高砂市(公園墓地)
- 許可の取消し事由(募集案内)
親族などが名義を継ぐ(承継)
- 東京都(都立霊園)
- 使用者の死亡その他規則で定める場合に承継できる。承継する人は祖先の祭祀を主宰する者で、知事の許可が要る(第19条)
- 福岡市
- 祭祀を承継する者が一般墓所の利用権を承継でき、市長に届け出て承認を受ける(第12条)
- 高砂市(公園墓地)
- 使用者の死亡時、または生前に親族へ譲りたい場合に承継許可を申請
使わなくなったとき
- 東京都(都立霊園)
- 届け出て原状に回復(第16条)
- 福岡市
- 原状に復して返還。市長の承認があれば現状のまま(第7条)
- 高砂市(公園墓地)
- 霊域返還届を提出
返したときに戻るお金
- 東京都(都立霊園)
- 既納の使用料・管理料は原則還付しない(第15条)
- 福岡市
- 許可後3年以内に全部返還したときは使用料の半額(第18条第2項)
- 高砂市(公園墓地)
- 募集案内・手続きのページに還付の記載なし
高砂市は、生前に親族へ使用権を譲りたい場合も「承継」の手続き(霊域使用権承継許可申請書)として扱っています。親族の間でも、管理者の許可を受ける手続きが必要です。
返すときに戻るお金
返還したときに払ったお金が戻るかは、条例の還付の定めで決まります。東京都は原則として還付しない、福岡市は許可から3年以内の返還なら使用料の半額、広島市は2年以内なら半額、というように、戻るとしても条件付きです。詳しくは墓じまいで永代使用料は戻りますかで5自治体を比べています。
一方で、返すときには原状回復が求められます。東京都霊園条例 第16条は、使わなくなったときは届け出るとともに「当該施設を原状に回復しなければならない」と定めています(知事が特別の事情を認めるときを除く)。墓石の撤去費用は自分の負担になる前提で、資金を考えてください。返還の進め方は墓地は更地にして返すのですかで扱っています。
民営霊園・寺院墓地の場合
民営霊園やお寺の墓地は、条例ではなく、使用規則・契約書で決まります。譲渡を認めるか、返還したときに何が戻るかは、墓地ごとに違う可能性があります。本サイトでは、民営霊園・寺院墓地の一般的な扱いは確認できていません。手元の契約書・使用規則の該当する条項を確かめ、管理者に問い合わせてください。
自宅の敷地や畑など、自分の家の土地にあるお墓(個人墓地)をなくす場合は、手続きが違います。自宅の敷地や畑にあるお墓をなくすときを見てください。
契約書・使用規則で確かめる条項
- 「譲渡」「転貸」の禁止や、許可の取消しの定め
- 「承継」できる人の範囲と、承継の手続き
- 「返還」の手続きと、原状回復(更地にする範囲)の定め
- 「還付」の定め(使用料・管理料が戻る条件)
- 未払いの管理料があるときの扱い
東京都・福岡市のように、霊園条例を例規集で公開している自治体があります。
墓石は売れるのか
墓地の使う権利とは別に、墓石そのものの扱いがあります。撤去した墓石を売ったり、ほかで使ったりできるかについて、公的な説明は本サイトでは確認できていません。撤去した墓石の行き先は、撤去を頼む石材店に見積もりの段階で確認してください。見積もりで確かめる項目は墓じまいの見積もりで確認する8項目で扱っています。
本サイトで確認できていないこと
- 民営霊園・寺院墓地で、使用権の譲渡を認めている例があるか。
- 撤去した墓石を売却・再利用できるか。
- 3つの公営墓地以外の自治体の条例で、譲渡がどう扱われているか。
次に確認すること
このページの情報源
- 東京都霊園条例 第16条・第17条・第19条(東京都(東京都例規集))確認日:2026年10月27日外部サイトが開きます
- 東京都霊園条例(東京都)確認日:2026年10月27日外部サイトが開きます
- 福岡市立霊園条例 第7条・第9条第1項第2号・第12条(福岡市(福岡市例規集))確認日:2026年10月27日外部サイトが開きます
- 福岡市立霊園条例(福岡市)確認日:2026年10月27日外部サイトが開きます
- 高砂市公園墓地 使用者募集のご案内(高砂市 生活環境部 環境経済室 環境政策課)確認日:2026年10月27日外部サイトが開きます
- 高砂市公園墓地の申請・届出等について(高砂市 生活環境部 環境政策課)確認日:2026年10月27日外部サイトが開きます
- 広島市墓地及び納骨堂条例(広島市)確認日:2026年10月4日外部サイトが開きます
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